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レイヤーを重ねる。
このところずっと力を入れているワードです。
日本の平面構成は平安時代から1つの空間に間仕切りになる屏風や簾などを使いました。
現代空間において壁で部屋を仕切ることが当たり前になりましたが、
どこかDNAの中に
“空気を感じる”
“気配を感じる”
“そこはかとなく繋がっている”
ことが何か心地いいように思う民族なのではないかなと思います。
内装デザインにおいて今回垂直レイヤーを重ねていくということを最初に取り入れた空間がブライダルサロンです。
1階に入っているのですが、1階はあまり面積が広くないこと、
入ってきて空間として圧迫感が出ないようにしたい、
サロンで打ち合わせする際に、囲い込まれるような精神的な圧迫感から解放されたい。
この3点が自分の中でクリアしたい点でした。
そこで、建物側は全面ガラスとし2番目のレイヤーはハイバックチェア、次にスチールの棚で見え隠れするレイヤー、最後に壁面という4枚のレイヤー構成にしました。
最初のレイヤーはガラス壁。急な坂を上ってくるとピロティーガ大きいホテルライクなアプローチがあり、
車で上がってきた瞬間にまず期待が高まるようにしようと考えました。
その鍵は、2番目のレイヤーに対して何を選択するのかです。ガラスで全てが見えてしまうため、心地いいのか、悪いのかは表裏一体です。
最初に思い浮かんだのがベルギーのホテルでの体験でした。
狭いロビーをFFEのみ改修した空間は、背中合わせになるようレイアウトされた大ぶりのスツール、
視線を外す絶妙な高さのソファーのランダムな配置で、ホテルで待ち合わせする人、
そこでちょっとした打合せをしている人、宿泊客が新聞を読んでいる人が渾然一体となっていたのです。
狭いロビーがラウンジ機能を兼ねている。最初チェックインした時に、不思議な活気があり変わってるな。。。と思ったのですが、
翌日の朝試しに朝食の後パーソナルなハイバックチェアに座って本を読んでみたところ、びっくりするくらい集中できて気持ちがよかったのです。
ラウンジ感があるようにし、座ってみたい!と思っていただけるような心地よい開放感と視線を気にせずにすむ
パーソナルなソファスペース。これが私の選選択でした。3番目のレイヤー空間はソファスペースの打合せコーナー。
ホテルのラウンジ感覚でゆっくり話を楽しめるよう、人の気配を感じることによる安心感を得られるようにしました。
ラウンジとして使うわけではないので、ソファーの脚の高さと机の高さ、そしてラウンジ感が残るテーブルの大きさ。
これが3番目のレイヤーでスタディーを重ねたことです。4番目のレイヤーはその向こうのエリアとの仕切りの壁。
ロビーのコンパクトなスペースと打合せ席数は譲れない!という運営側のご要望を形にした4枚レイヤー空間です。