長年ずっと欲しかった素材の研究や実験ができる場所。
ずっと何軒かの不動産屋さんにお願いしていましたが、なかなかいい物件に当たらず、ある時諦めて足で稼ぐか。。。と。
スタッフと2人で手分けして回ることにしたのですが、途中で繁忙期突入。
あえなく任せて回ってもらうことにしました。

彼は毎日自転車でくるくる私が言う街の小さな不動産屋さんをローラー作戦で回ったのですが、なかなか厳しい言葉を返され毎日撃沈していたようでした。

「無理なんじゃないか。そんなのないですよ。みんな足蹴にされます。」
　
そう弱音を吐くスタッフに真逆な性格の超前向き人間な私は、どうして難しいって言われたの？
と丁寧に話の内容を聞き取ることに。
すると、いつものように見えてくるのです。なぜだめなのか。（もちろん、私が提示している条件がかなり厳しいのは大前提なのですが。。。）

あー。そういうこと。
私の言う場所は住宅街で空き家あるけど作業するのはだめなのね。と。
では、大きな道に面しているか小さな工場（こうば）として成り立っていた街に行かないとだめだねと。

そこからが、我が家のスタッフの快進撃でした。
私は全く土地勘がなかったのですが、昔その近辺に住んでいたことがあると、目黒区の大岡山に小さな縫製工場として使っていた二階がアパートの古い木造の物件を掘り当てたのです。もう見つかったときは大興奮でした。
思っていた通りの案件！！
リノベのしがいがある！！！
扉はまるでサザエさんのお宅のようだし、ガラスも昭和を感じる型ガラス。

※バンケット前室装飾

アトリエのリノベは後回しにし、夏からレーザーカッターを導入して制作を始めることになりました。
新しく新規事業を立ち上げることとなったadv事業部。
advはアールドビーブルというフランス語の略語です。
詳しくはホームページをご覧いただきここでは割愛しますが、私は実験の場としてのアトリエ。
事務所としては新規事業としてレーザーカッターを使った内装材として使えるパネル制作やアートワーク、しつらい、ペーパーアイテムの制作が主な事業内容です。
特に木を使ったアイテムで構成しています。

※ブライダルサロン前通路装飾
　
今回このプロジェクトでもサイン工事やアートワークを担当させていただきました。
　
“木を使って新しい表情や使い方を提案できたら。”
　
レーザーカッターは今実験の毎日です。想像通りのものや、偶然発見したテクニック。
自分のところで実験できるということはここが楽しいですね。
ともかくいつもこんなもの作りたいというアイデアと探究心が止まないこと。
そこにデータを作る精度とテクニック。それに関して積み重ねてきた自身があります。
そこへ新しく機械が入り行う精密さを確実に表現できるようになりました。
でもそれだけでは人の心に響くものはできません。人の手が加わることで初めて存在感が出る。命が入るのです。
作業は失敗の連続でまだまだ機械と材料の特質を把握するためのデータを集めていかないといけないという苦労もありますが、楽しい挑戦です。
いいおもちゃと基地ができました。

※バンケットサイン壁面パネル装飾